[ テーマ: 年金を知ろう! ]
2009年8月10日10:25:34
年金を知ろう!育児休業を取得しているとき厚生年金はどうするの?(年金制度の子育て支援)
1歳未満の子供を養育している従業員は、男女の区別なく、育児休業を取得する権利が育児・介護休業法で認められています。
保育所に入所できないなど、やむを得ない事情がある場合には、1歳6か月になるまで育児休業の取得が認められています。
厚生年金の加入者は、育児休業を取得する場合、保険料の支払いを免除してもらえます。
以前お話した「カラ期間」とは違い、老後に年金をもらうときも、その期間については、休業前の賃金にたいする保険料の金額を支払い続けた時とみなされるので、育児で休んだことによって年金が減ってしまう心配はありません。
この制度は「子が3歳未満」の人が対象になります。また、通常折半で支払っている事業主の負担もありません。
職場に復帰した後も、子供が小さいため残業ができなかったり、短時間でしか勤務できないなど、出産前より賃金が減ることが考えられます。
このような場合にも、支援措置が設けられています。
これは、賃金が減っても保険料率は変わらないというものです。
基準になる賃金が減るのに料率が変わらなければ、当然、保険料が減り、負担が軽減します。
しかも、将来、年金額をもらう時には、子供が生まれる直前の賃金水準で保険を納めたと見なして計算してもらえます。
こちらも「子が3歳未満」の人が対象です。
手続は会社を通じ社会保険事務所に申請します。
※年金の受給要件は細かく規定されています。
詳しくは、お住まいの市町村役場の国民年金課か当事務所へご相談下さい
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[ テーマ: 法律に関する事 ]
2009年8月5日14:41:00
平成16年5月21日「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」が,成立し,平成21年5月21日から裁判員制度が始まりました。
そして8月3日に裁判員制度を利用した第1回の裁判が行なわれました。
裁判員制度とは,国民が裁判員として刑事裁判に参加して,被告人が有罪かどうか,有罪の場合どのような刑にするかを裁判官と一緒に決める制度です。
国民が刑事裁判に参加することにより,裁判が身近で分かりやすいものとなり,司法に対する国民の信頼の向上につながることが期待されています。
裁判員に選ばれるまでの流れ
①前年の秋
各地方裁判所ごとに,管内の市町村の選挙管理委員会がくじで選んで作成した名簿に基づき,翌年の裁判員候補者名簿が作成されます。
②前年11月頃
裁判員候補者名簿に記載されたことが通知されます。この段階ではすぐに裁判所へ行く必要はありません。
また,就職禁止事由や客観的な辞退事由に該当しているかどうかなどをたずねる調査票が送付されます。
調査票を返送し,明らかに裁判員になることができない人や,1年を通じて辞退事由が認められる人は,裁判所に呼ばれることはありません。
③事件ごとにに裁判員候補者名簿の中から,くじで裁判員候補者が選ばれます。
④原則、裁判の6週間前まで
くじで選ばれた裁判員候補者に質問票を同封した選任手続期日のお知らせ(呼出状)が送られてきます。
裁判の日数が3日以内の事件(裁判員裁判対象事件の約7割)では,1事件あたり50人程度の裁判員候補者にお知らせが送られる予定になっております。
質問票を返送してもらい,辞退が認められる場合には,呼出しを取り消されますので,裁判所へ行く必要はありません。
⑤裁判の当日裁判員候補者のうち,辞退を希望しなかったり,質問票の記載の内容では辞退が認められなかった方は,選任手続の当日,裁判所へ行くことになります。
裁判長は候補者に対し,不公平な裁判をするおそれの有無や,辞退希望の有無・理由などについて質問をします。
候補者のプライバシーを保護するため,この手続は非公開となっています。
⑥最終的に事件ごとに裁判員6人が選ばれます(必要な場合は補充裁判員も選任します)。
通常であれば午前中に選任手続を終了し,午後から審理が始まります。
もし、社員が裁判員に選ばれたら
裁判所ののホームページでは、全国で1年当たり、裁判員候補者として約300人~600人に1人程度(0.18~0.35%)が裁判所に出向き、約3,500人に1人程度(0.03%)が実際に裁判員または補充裁判員として刑事裁判に参加するという試算が発表されています。
社員が裁判員に選ばれることは当然想定されるべきと言えるでしょう。
労働基準法第7条は公民権行使の保障を定めているため、労働者の権利として、裁判員や裁判員候補者として選ばれた人が、このために休暇を取得することを会社は拒否することができません。
ただし、賃金の取り扱いについては特段の定めはなく、無給でも問題ありません。
会社側の対応としては、特別休暇の項目に裁判員および裁判員候補者として選ばれた場合についての休暇の取り扱いを追加したり、日数や給与の取り扱い、また証明書類の提出を決めておくなど、就業規則を整備しておく必要があるでしょう。
証明書は裁判所からの発行が予定されていますので、就業規則で提出の義務付けを行うのがよろしいのではないでしょうか。
なお、社員が裁判員等になったことを理由として解雇したり、賞与等の査定などで不利益な取り扱いをすることは、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第71条で禁じられています。
裁判員制度に伴う就業規則の変更については当事務所にご相談下さい。
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[ テーマ: 年金を知ろう! ]
2009年8月3日16:01:00
年金を知ろう!-60歳をすぎて働いていると年金はもらえないの?-
老齢厚生年金は60歳以降も厚生年金に加入して仕事を続けた場合、一定額以上の収入があると年金額が減らされ、収入によっては全く年金がもらえないこともあります。
この年金の仕組みを『在職老齢年金』といいます。
在職老齢年金の減額の仕組みは60歳以上65歳未満と、65歳以上では違ってきます。
60歳から65歳まで
在職老齢年金を計算する際には、「総報酬月額相当額」と「基本月額」というものを確認する必要があります。
総報酬月額とは、標準報酬月額 に標準賞与額(実際に支給された賞与額から千円未満を切り捨てた額)の12分の1を加えたものです。
基本月額とは、年金の月額をいいます。
年金の支給額は、これら二つを足した金額が28万円を超えると減額されます。
総報酬月額相当額と基本月額の合計が280,000円以下・・・・・全額支給
総報酬月額相当額と基本月額の合計が280,001円以上・・・・・下表の通り
総報酬月額 | 基本月額 | 支給 |
46万円以下 | 28万円以下 | 基本月額―(総報酬月額+基本月額―28万円)×2分の1 |
28万円超 | 基本月額-(総報酬月額相当額×2分の1) | |
46万円超 | 28万円以下 | 基本月額―(46万円+基本月額―28万円)×2分の1-(総月額-46万円) |
28万円超 | 基本月額-(46万円×2分の1)-(総報酬月額相当額-46万円) |
65歳から
65歳からは老齢基礎年金の支給が始まり、老齢厚生年金との2階建て構造になります。
60歳代後半の在職老齢年金は、老齢基礎年金は全額支給され、老齢厚生年金の月額と総報酬月額相当額を合わせた金額が46万円を超えると、その超えた部分の2分の1が支給停止されます。
総報酬月額相当額+老齢厚生人金の月額 | 老齢基礎年金 | 老齢厚生年金 |
460,000円以下 | 全額支給 | 全額支給 |
460,000円超 | 全額支給 | 一部支給停止※ |
※支給停止額=(総報酬月額相当額+老齢厚生年金月額-46万円)×2分の1がもらえないということです。
70歳以上の方
65歳以上と同じですが、給与から引かれる厚生年金保険の保険料負担がなくなります。
このように見て来ると、厚生年金を納めながら働くのは不利に思えるかもしれませんが、納付金額が増えることにより、当然、将来受け取れる年金が増えるというメリットがあります。
また、厚生年金に加入していないと、国民健康保険料の支払いや妻の国民年金の支払など、経済的な負担を強いられることもあるのです。
※年金の計算は、大変複雑なものとなっています。具体的な金額は当事務所、社会保険事務所などに個別にご相談ください。
この記事は2014年12月加筆修正されたものです。現状と異なっている場合もありますのでご注意ください。
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