[ テーマ: 保険に関する事 ]
2008年3月1日09:30:00
療養補償・障害補償給付
労災保険における各種補償給付のうち今回は
①療養補償給付
②障害補償給付
について説明します。
各種給付は業務災害、通勤災害共に同一の内容となります。
①療養(補償)給付について
労働者が、業務上または通勤により負傷したり、疾病にかかって療養が必要なとき行う給付です。(業務災害では療養補償給付、通勤災害では療養給付といい同じ内容です。)
療養(補償)給付には「療養の給付」と「療養の費用の支給」があります。
療養の給付は労災指定病院等で治療を受けるいわゆる現物給付です。
療養の費用の給付は、近くに労災指定病院がないなどで指定外の医療機関で療養を受けた場合の費用を支給する現金給付です。
給付の対象となる療養の範囲や期間は同じで、治療費、入院費、移送費等通常療養に必要なものが含まれ、疾病が治癒するまで行われます。
なお、療養費用については支出が確定したときから2年の請求事項がありますから注意が必要です。
②障害(補償)給付について
業務上又は通勤による自傷や疾病が治ったとき、身体に一定の障害が残った場合に行う給付です。(業務災害では障害等補償給付、通勤災害では障害給付といい同じ内容です。)
治った時=治癒とは、傷病の症状が固定し医学上一般に認められた医療を行ってもその医療効果が期待できなくなった時をいいます。
つまり、負傷の場合は、創面が治癒した場合、病状の場合は急性症状がなくなり慢性症状があっても医療効果が期待できない状態を治ったときと判断されます。
障害については、その程度により一級から十四級の障害等級表に区分された等級により年金又は一時金が支給されます。
障害等級第一級から第七級に該当するとき=障害(補償)年金、障害特別支給金、障害特別年金
障害等級第八級から第十四級に該当するとき=障害(補償)一時金、障害特別支給金、障害特別一時金
[ テーマ: 法律に関する事 ]
2008年2月20日16:25:00
教育訓練・福利厚生
教育訓練関係
問17 教育訓練で、例えば工場実習に労働基準法の制限(重量物等)がある場合はそれを理由に工場実習から女性を対象外としてよいか。
答え 労働法の制限がある業務を含む実習について、当該業務についてのみ女性を配置しないことは違反とならない。しかし、当該業務があるからといって工場実習全部から女性を対象外とすることは違反である。
問18 ①女性の活用を図る為の管理職に対する啓発研修
②セクシャルハラスメントに関する意識啓発の為の研修
③男性も家族の一員として育児家族の責任を担う意識啓発研修について
男性ののみを対象に訓練することは違反か。
答え 設問①、②については「教育訓練」に該当し男女一方のみ対象は違反
③は「教育訓練」に該当せず違反とならない
問19 入社後、駅やバス営業所で現実実習を行うが、男女別の宿泊設備の不備を理由に女性は日勤、男性は宿泊勤務とすることは問題か。
答え 女性用宿泊設備の一部について対象を男性のみとすることは違反である。
問20 特定退職金共済制度が、就業規則内規等明確な退職金制度がないため賃金でなく恩恵的給付と解されるような場合、男性のみ加入させる、あるいは男女で掛金が異なる場合は違反か。
答え 均等法第6条の福利厚生の措置には、共済会等事業主が主体的に行う場合、資金の負担、運営の方法等実態を考慮して、実質的に事業主がおこなうものとみることができるときは本条の対象となり違反となる。
問21 福利厚生の世帯主要件に関して女性のみ住民票や配偶者の所得証明を提出させているのは違反か、提出書類に男女差があっても支給に差が対場合は?
答え 労基法第4条は、罪刑法定主義に則り差別的取扱いを厳格に解釈して、現実に差別待遇が行われていない場合は本条に違反しないこととしている。
[ テーマ: 法律に関する事 ]
2008年2月15日16:41:00
労働契約法が成立
労働契約の基本的なルールを定める「労働契約法」が昨年末の国会で成立しました。
就業形態の多様化、個別労働関係紛争等の増加に対応する目的で、具体的には
①労働契約は、労使が対等の立場で合意することによって締結し、できる限り書面により確認すること
②使用者が合理的な労働条件が定められた就業規則を労働者に周知させているときはその労働条件が労働契約の内容となること
③労働条件の変更は労使の合意によりできるが、使用者が変更する場合は、その必要性等諸般の事情に照らして合理的であること。
④解雇権の濫用は無効とする。
等の内容が盛り込まれています。
主な点を次に説明します。
労働契約の原則(第三条関係)
労働者及び使用者が対等な立場で合意に至ること、就業の実態に応じて均衡を考慮しつつ締結・変更すること、仕事と生活の調和に配慮すること。労働契約に基づく権利の行使に当たっては濫用しないことを求めています。
使用者は、労働契約の内容について労働者の理解を深める努力をし、できる限り書面により解決することを求めています。
また、使用者に対し労働者が、生命身体等の安全を確保しながら労働できるよう必要な配慮をするよう求めています。
労働契約の成立及び変更(第6条~)
労働契約は、当然のことながら労働者が労働を提供し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて合意することにより成立するとしています。合理的な労働条件がざだめられている就業規則が労働者に周知されている場合はその内容を労働契約の内容とできます。
また、就業規則に定める基準に達しない労働条件は無効となります。
労働契約の内容の変更は労使の合意でできます。また、変更後の内容により労働者が受ける不利益の程度、労働条件の変更等が合理的と認められない変更を、使用者は一方的に行うことはできません。
労働契約の終了(第16条)
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は解雇権の濫用となり無効となります。