[ テーマ: 法律に関する事 ]
2008年9月11日15:05:00
改正男女雇用機会均等法が平成19年4月1日施行され、1年余りがたちました。
改正法では、性差別禁止の範囲が拡大され、セクシュアルハラスメント対策の対象も男女労働者になっています。
就業規則や人事制度の仕組み、管理者の社員に対する対応や業務の進め方等の見直しは適正になされていますか?
この機会に改めてご確認下さい。
改正男女雇用機会均等法チェックリスト!
1. 募集や採用(選考手続きを含む)にあたって、性別を理由とした異なる取扱いはありませんか?
2. 配置(業務の配分や権限の付与を含む)・昇進・降格・教育訓練、福利厚
生、職種変更・パートへの変更などの雇用形態の変更、退職勧奨・定年・解
雇、労働契約の更新について、性別を理由とした異なる取扱いはありません
か?
※アンダーラインは、改正法によって追加になった項目です
3. 間接差別に該当する措置(合理的理由なく募集・採用に当たって身長・体
重・体力要件、「総合職」募集に当たって転居転勤要件、昇進に当たって
転勤経験要件を付すこと)はありませんか?
4. 妊娠や出産などを理由として、解雇・退職の強要・パートへの転換強要
などが行われていませんか?
5. 妊娠・出産に起因する症状(つわり、切迫流産等)により労働能率が低下
したことなどを理由として、不利益な自宅待機を命じたり、不利益な配
置の変更などが行われていませんか?
6. 給与、賞与などについて、妊娠・出産等により就労できなかった期間や労
働能率が低下した割合を超えて減額したり、他の疾病と比べて不利な取扱
いが行われていませんか?
男女雇用機会均等法改正関係について
差別禁止規定の強化
1.募集、採用について性別を理由とする差別的取扱いを禁止です。
例1.「看護婦」「ウエイトレス」「ウエイター」「営業マン」など、特定
の性別を限定するような標記
例2.「営業職」、「総合職」、「大卒技術系」、「正社員」などの募集・
採用で男性のみ、あるいは女性のみとしたり、男女で異なる採用人数や年齢
を設定すること
2.配置(業務の配分・権限の付与を含む)、昇進、降格、教育訓練、職種・雇
用形態の変更、退職の勧奨、定年・解雇・労働契約の更新について性別を理
由とする差別的取扱いを禁止しています。
3.間接差別(具体的には省令で定める)は、業務の遂行上特に必要である場
合、事業の運営状況に照らし特に必要である場合、その他の合理的理由があ
る場合以外は禁止です。
4.妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの禁止です。
①解雇以外の不利益取扱いも禁止
②妊娠中・産後1年以内の解雇は、事業主が妊娠・出産等を理由とする解雇
でないことを証明しない限り、無効
男女労働者に対するセクシュアルハラスメントに関する事業主の雇用管理上
の措置が義務化されました。 就業規則を見直しましょう!!
その他
①ポジティブ・アクションを行っている企業がその取組状況を外部に開示する
際にこれを国が援助します。
※ ポジティブ・アクション」とは
性別による役割分担意識や過去の経緯から、男女労働者の間に事実上生じている差を解消しようと、企業が行う積極的な取り組みです。
②セクシュアルハラスメント及び母性健康管理措置についても調停及び企業名
過料(20万円以下)の創設
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[ テーマ: 年金を知ろう! ]
2008年8月12日09:00:00
加給年金について
年金問題が注目されていますが、今回は加給年金について取り上げてみたいと思います。
厚生年金では、受給者(夫)に65歳未満の妻など扶養家族がいると、年金額に「加給年金」が上乗せされます。給与でいえば扶養手当のようなものと考えるとわかりやすいと思います。
加給年金額とは、年金受給者に生計を維持されている65歳未満の配偶者や18歳到達年度末までの子(特定の場合は20歳未満)がいる場合に支給されるものです。
.
対象者 |
加給年金額 |
年齢制限 |
配偶者 |
227,900円 |
65歳未満であること(大正15年 |
1人目 2人目の子 |
各227,900円 |
18歳到達年度の末日までの間の子、 |
3人目以降の子 | 各 75,900円 |
配偶者に加給年金額が加算されるための用件等は以下のとおりです。
①受給権者の要件:老齢厚生年金額の計算の基礎となった被保険者期間が20年以上(中高齢の期間短縮に該当するときはその期間)あること
②配偶者の要件:受給権者が受給権を取得当時、受給権者によって生計を維持されている65歳未満の配偶者であること
③配偶者:被保険者期間が20年以上(中高齢の期間短縮に該当するときはその期間)ある老齢厚生年金、障害厚生年金、障害基礎年金、共済組合の退職年金等を受給できる間は、配偶者の加給年金額は支給停止
配偶者加給年金額の特別加算額
受給権者の生年月日 | 特別加算額 | 加給年金額の合計額 |
昭和 9 年4月2日~昭和15年4月1日 | 33,600円 | 261,500円 |
昭和15年4月2日~昭和16年4月1日 | 67,300円 | 295,200円 |
昭和16年4月2日~昭和17年4月1日 | 101,000円 | 328,900円 |
昭和17年4月2日~昭和18年4月1日 | 134,600円 | 362,500円 |
昭和18年4月2日以後 | 168,100円 | 396,000円 |
加給年金額の対象となる配偶者の年収制限は、次のとおりです(いずれかに該当)。
①受給権者の年金の裁定請求時に、配偶者が年収850万円の収入を将来にわたって得られないこと
②年金の裁定請求時の年収が850万円以上であっても、おおむね5年以内に850万円未満になると認められること
③年収が850万円以上であっても、年間所得金額(収入一必要経費)が664万5000円未満であること、したがって被扶養配偶者(収入が130万円未満)でなくても、加給年金額の加算対象配偶者となることができます。
加給年金と振替加算
60歳 63歳 65歳
夫 報酬比例部分 特別支給の老齢厚生年金 老齢厚生年金
老齢基礎年金
加給年金
妻 振替加算
老齢基礎年金
※妻が年下の場合 65歳
妻が国民年金のみ加入の場合
妻が65歳になり自分の年金をもらえるようになると、夫についていた加給年金に代わり、「振替加算」が妻の年金につくようになります。
額は妻の生年月日に応じて決まり、来年度に65歳になる昭和18年4月2日~昭和19年4月1日生まれの人で、年12万4700円となります。
妻が夫より年上で、妻が先に65歳で年金をもらい始めるケースでは、加給年金の支給はなく、振替加算のみ支給されます。
ただし、妻に振替加算がつくのは、夫の年金受給が始まってからとなります。
現在、持ち主の分からない年金記録の統合作業が進められていますが、妻が以前勤めていた時の厚生年金記録を見つけて統合すると、加入期間が増えて、妻自身の年金額は増えるものの、加給年金や振替加算がつかなくなるケースが出ています。
なお、妻が加給年金をもらえなくなる厚生年金の加入期間は「20年以上」ですが、これは原則で、昭和26年4月1日以前に生まれた人は、35歳以降に15~19年の加入期間があると、加給年金や振替加算が出ない場合があります。
配偶者の厚生年金の加入期間が20年以上ある場合
配偶者の厚生年金の加入期間が20年以上であっても、まだ受給権を取得していなければ、加給年金額は加算されます。
例1】
受給権者(夫) | 配偶者(妻) |
生年月日:昭和22年7月10日 | 生年月日:昭和25年9月10日 |
厚生年金加入期間:480月(40年) | 厚生年金加入期間:300月(25年) |
例1】の場合、妻の厚生年金の加入期間が20年以上あるので、通常加給年金額は支給停止になりますが、妻が60歳になるまでは、妻の老齢厚生年金の受給権が発生しないため、加給年金額が加算されます。
また、妻が60歳になり老齢厚生年金の受給権を取得しても、在職(会社員等)し、在職老齢年金が全額支給停止になる場合は、妻が60歳になっても加給年金額が加算されます(一部でも支給される場合には、加給年金額は支給停止)。
なお、配偶者が60歳になって年金受給権が発生しているにもかかわらず裁定請求をしていない場合、未裁定(受給権が発生していない)のため加給年金額が加算されることがあります。しかし、配偶者が裁定請求をしたときに加給年金額の支給停止が過去にさかのぼって行われます(以後支給される年金額から差し引かれます)。
60歳 62歳 65歳
夫 報酬比例部分 老齢厚生年金
定額部分 老齢基礎年金
加給年金
妻 報酬比例部分 振替加算
定額部分 老齢基礎年金
60歳
62歳
65歳
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2008年8月1日09:00:00
社会保険庁の廃止と、非公務員型の2つの新法人の設立
社会保険事務所が日本年金機構と全国健康保険協会の2つの組織に変わります。
新しい2つの法人の職員も、公務員ではなく民間になります。
【現在】 社会保険庁
【新組織】 日本年金機構(平成22年1月)
公的年金の運営業務を行う。(適用・徴収・記録管理・相談・裁定・給付等)
※ 民間企業等への委託を推進
全国健康保険協会(平成20年10月)
健康保険事業を行う。(中小企業で働く被用者むけ)
国が担う業務は・・・
※公的年金の財政責任・運営責任は厚生労働本省
※保険医療機関の指導監督は地方厚生局
※悪質な滞納者の強制徴収は国税庁へ委任可能
日本年金機構について
国(厚生労働省)は財政責任、管理運営の責任を持ち、一連の業務を日本年金
機構に委託します。
日本年金機構は事業主や、被保険者に対し、業務を積極的に外部委託しつつ、
各種手続業務等を行います。
事業主や被保険者は、保険料や年金の給付といった金銭のやり取りを、金融機関
を通じて直接国と納付・支払を行います。
国(厚生労働省) 財政責任、管理運営責任(年金給付の裁定責任等
年金特別会計 日本銀行
保険料徴収・年金給付
一連の業務運営を委任 事業主・被保険者等
・委託 監督 金融機関口座振替
保険料や年金給付は、
国と金融機関口座の間
で 直接納付・支払
日本年金機構(非公務員)
各種通知書・届出書・申請書
民間事業者者等 業務の外部委託を積極的に推進
本部 ⇔ 地方ブロック本部 ⇔ 年金事務所(312か所)
記録管理や年金裁定等の審査は、
主に本部とブロックの事務センターで行い、
年金事務所でも、適用徴収と年金給付の
担当部門を分ける
適用徴収 ・事業所調査、職権適用・納付督励、強制徴収
オンラインシステム 悪質な納者の強制徴収は国税庁へ委任できる
オンラインシステム
年金給付 ・年金相談・届出・申請の受付
全国健康保険協会について
2008年10月より現在の政管健保(中小企業等の被用者とその家族(約3600万人)が
加入)をひきつぎます。
職員は非公務員で法人として合理化・効率化の推進を目的としています。
都道府県単位の財政運営を基本とし、都道府県ごとに地域の医療費を反映した保険
設定します。
都道府県単位保険料率では、年齢構成の高い県ほど医療費が高く、保険料率が高く
なり、また、所得水準の低い県ほど、同じ医療費でも保険料率が高くなることから、
都道府県支部間で年齢調整・所得調整を行うこととしています。
本部 ・・・運営委員会 (事業主・被保険者・学識経験者で構成)
支部を統括・支援 事業主・被保険者の意見に基づく自主自律の運営
都道府県支部(全国47か所) ・・・評議会 (地域の事業主・被保険者
・学識経験者で構成)
支部単位で地域の実情を踏まえ事業を実施
保険運営の企画 保険給付 保健事業(予防)
・都道府県別保険料率の設定 ・被保険者証の発行 ・健診
・財政運営 ・窓口サービス・相談 ・保健指導
・業務改革 ・サービスの向上・保険給付 ・情報提供・相談
・医療費分析、情報発信 ・レセプトの点検 (生活習慣病の
予防を強化)
事業所の適用や保険料の徴収の業務は日本年金機構において厚生年金業務と一体
的に行い、保険給付に必要な財源は厚生労働省から協会に交付金として交付 されま
す。
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