[ テーマ: 年金を知ろう! ]
2008年8月12日09:00:00
加給年金について
年金問題が注目されていますが、今回は加給年金について取り上げてみたいと思います。
厚生年金では、受給者(夫)に65歳未満の妻など扶養家族がいると、年金額に「加給年金」が上乗せされます。給与でいえば扶養手当のようなものと考えるとわかりやすいと思います。
加給年金額とは、年金受給者に生計を維持されている65歳未満の配偶者や18歳到達年度末までの子(特定の場合は20歳未満)がいる場合に支給されるものです。
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対象者 |
加給年金額 |
年齢制限 |
配偶者 |
227,900円 |
65歳未満であること(大正15年 |
1人目 2人目の子 |
各227,900円 |
18歳到達年度の末日までの間の子、 |
3人目以降の子 | 各 75,900円 |
配偶者に加給年金額が加算されるための用件等は以下のとおりです。
①受給権者の要件:老齢厚生年金額の計算の基礎となった被保険者期間が20年以上(中高齢の期間短縮に該当するときはその期間)あること
②配偶者の要件:受給権者が受給権を取得当時、受給権者によって生計を維持されている65歳未満の配偶者であること
③配偶者:被保険者期間が20年以上(中高齢の期間短縮に該当するときはその期間)ある老齢厚生年金、障害厚生年金、障害基礎年金、共済組合の退職年金等を受給できる間は、配偶者の加給年金額は支給停止
配偶者加給年金額の特別加算額
受給権者の生年月日 | 特別加算額 | 加給年金額の合計額 |
昭和 9 年4月2日~昭和15年4月1日 | 33,600円 | 261,500円 |
昭和15年4月2日~昭和16年4月1日 | 67,300円 | 295,200円 |
昭和16年4月2日~昭和17年4月1日 | 101,000円 | 328,900円 |
昭和17年4月2日~昭和18年4月1日 | 134,600円 | 362,500円 |
昭和18年4月2日以後 | 168,100円 | 396,000円 |
加給年金額の対象となる配偶者の年収制限は、次のとおりです(いずれかに該当)。
①受給権者の年金の裁定請求時に、配偶者が年収850万円の収入を将来にわたって得られないこと
②年金の裁定請求時の年収が850万円以上であっても、おおむね5年以内に850万円未満になると認められること
③年収が850万円以上であっても、年間所得金額(収入一必要経費)が664万5000円未満であること、したがって被扶養配偶者(収入が130万円未満)でなくても、加給年金額の加算対象配偶者となることができます。
加給年金と振替加算
60歳 63歳 65歳
夫 報酬比例部分 特別支給の老齢厚生年金 老齢厚生年金
老齢基礎年金
加給年金
妻 振替加算
老齢基礎年金
※妻が年下の場合 65歳
妻が国民年金のみ加入の場合
妻が65歳になり自分の年金をもらえるようになると、夫についていた加給年金に代わり、「振替加算」が妻の年金につくようになります。
額は妻の生年月日に応じて決まり、来年度に65歳になる昭和18年4月2日~昭和19年4月1日生まれの人で、年12万4700円となります。
妻が夫より年上で、妻が先に65歳で年金をもらい始めるケースでは、加給年金の支給はなく、振替加算のみ支給されます。
ただし、妻に振替加算がつくのは、夫の年金受給が始まってからとなります。
現在、持ち主の分からない年金記録の統合作業が進められていますが、妻が以前勤めていた時の厚生年金記録を見つけて統合すると、加入期間が増えて、妻自身の年金額は増えるものの、加給年金や振替加算がつかなくなるケースが出ています。
なお、妻が加給年金をもらえなくなる厚生年金の加入期間は「20年以上」ですが、これは原則で、昭和26年4月1日以前に生まれた人は、35歳以降に15~19年の加入期間があると、加給年金や振替加算が出ない場合があります。
配偶者の厚生年金の加入期間が20年以上ある場合
配偶者の厚生年金の加入期間が20年以上であっても、まだ受給権を取得していなければ、加給年金額は加算されます。
例1】
受給権者(夫) | 配偶者(妻) |
生年月日:昭和22年7月10日 | 生年月日:昭和25年9月10日 |
厚生年金加入期間:480月(40年) | 厚生年金加入期間:300月(25年) |
例1】の場合、妻の厚生年金の加入期間が20年以上あるので、通常加給年金額は支給停止になりますが、妻が60歳になるまでは、妻の老齢厚生年金の受給権が発生しないため、加給年金額が加算されます。
また、妻が60歳になり老齢厚生年金の受給権を取得しても、在職(会社員等)し、在職老齢年金が全額支給停止になる場合は、妻が60歳になっても加給年金額が加算されます(一部でも支給される場合には、加給年金額は支給停止)。
なお、配偶者が60歳になって年金受給権が発生しているにもかかわらず裁定請求をしていない場合、未裁定(受給権が発生していない)のため加給年金額が加算されることがあります。しかし、配偶者が裁定請求をしたときに加給年金額の支給停止が過去にさかのぼって行われます(以後支給される年金額から差し引かれます)。
60歳 62歳 65歳
夫 報酬比例部分 老齢厚生年金
定額部分 老齢基礎年金
加給年金
妻 報酬比例部分 振替加算
定額部分 老齢基礎年金
60歳
62歳
65歳
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