派遣先にも男女雇用機会均等法が適用されます -1-

[ テーマ: 男女均等な採用選考ルール ]

2012年2月17日17:19:19

矢印39 派遣先にも男女雇用機会均等法が適用されます


派遣先の事業主にも、労働者派遣法(第47条の2)により、均等法における次の3点が事業主の義務として適用されます。

数字 妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの禁止(均等法第9条第3項)

数字 セクシュアルハラスメント対策の措置(均等法第11条第1項)

数字 妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置(均等法第12条、13条第1項)


 派遣先事業主への適用については、これまでは数字数字についてのみでしたが、今回の改正により規定された数字についても、新たに適用されることとなりました。

 また、数字については、これまでは女性労働者を対象とした配慮義務でしたが、今回の改正により男女労働者を対象とした措置義務となりました。

 さらに、「派遣先が講ずべき措置に関する指針」により、派遣先の事業主が労働者派遣契約の締結に際し、派遣労働者の性別を特定する行為は禁止されています。もちろん職業安定法や均等法の趣旨からも、派遣労働者に対し性別を理由とする差別的取扱いを行ってはなりません。

 

 Ⅰ 派遣先に対する男女雇用機会均等法の適用

数字 妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの禁止(均等法第9 条第3 項)

派遣先の事業主が、派遣労働者が妊娠・出産・産休取得等厚生労働省令で定められimageている事由を理由として、不利益な取扱いをすることは禁止されます。

 

!ポイント 1  厚生労働省令で定められている事由とは?

雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律施行規則(昭和61年労働省令第2号)

(1) 妊娠したこと
(2) 出産したこと
(3) 妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置(母性健康管理措置)を求め、又は当該措置を受けたこと
(4) 坑内業務の就業制限若しくは危険有害業務の就業制限の規定により業務に就くことができないこと、坑内業務に従事しない旨の申出若しくは就業制限の業務に従事しない旨の申出をしたこと又はこれらの業務に従事しなかったこと
(5) 産前休業を請求し、若しくは産前休業をしたこと又は産後の就業制限の規定により就業できず、若しくは産後休業をしたこと
(6) 軽易な業務への転換を請求し、又は軽易な業務に転換したこと
(7) 事業場において変形労働時間制がとられる場合において1週間又は1日について法定労働時間を超える時間について労働しないことを請求したこと、時間外若しくは休日について労働しないことを請求したこと、深夜業をしないことを請求したこと又はこれらの労働をしなかったこと
(8) 育児時間の請求をし、又は育児時間を取得したこと
(9) 妊娠又は出産に起因する症状により労務の提供ができないこと若しくはできなかったこと又は労働能率が低下したこと


  ※ 「妊娠又は出産に起因する症状」とは、つわり、妊娠悪阻、切迫流産、出産後の回復不全等、妊娠又は出産をしたことに起因して妊産婦に生じる症状をいう。

 

!ポイント 2 不利益な取扱いとは?

     労働者に対する性別を理由とする差別の禁止等に関する規定に定め
     る事項に関し、事業主が適切に対処するための指針 (平成18年厚生
     労働省告示第614号)

(1) 派遣労働者として就業する者について、派遣先が当該派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を拒むこと
    例えば・・・
            妊娠した派遣労働者が、派遣契約に定められた役務の提供ができると
           認め られるにもかかわらず、派遣先が派遣元事業主に対し、派遣労働
           者の交替を 求めたり、派遣労働者の派遣を拒むこと。
(2) 就業環境を害すること,業務に従事させない、専ら雑務に従事させることなど
(3) 解雇すること
(4) 期間を定めて雇用される者について、契約の更新をしないこと
(5) あらかじめ契約の更新回数の上限が明示されている場合に、当該回数を引き下げることヘ 退職又は正社員をパートタイム労働者等の非正規社員とするような労働契約内容の変更の強要を行うこと
(6) 降格させること
(7) 不利益な自宅待機を命ずること
(8) 減給をし、又は賞与等において不利益な算定を行うこと
(9) 昇進・昇格の人事考課において不利益な評価を行うこと
(10) 不利益な配置の変更を行うこと

 

数字 職場におけるセクシュアルハラスメント対策の措置(均等法第11条第1項)

派遣先の事業主は、自ら雇用する労働者と同様、派遣労働者についても職場におけるセクシュアルハラスメント対策として、雇用管理上及び指揮命令上※必要な措置を講じなければなりません。また、男性に対するセクシュアルハラスメントも対象となります。
 講じなければならない措置は次の9項目です。
           ※労働者派遣法第47条の2において、「均等法第11条第1項の
             『雇用管理上』とあるのは、『雇用管理上及び指揮命令上』とす
             る」旨が明記されています。

事業主が講ずべき措置の内容

事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針        
 (平成18年厚生労働省告示第615号)
⑴ 事業主の方針の明確化及びその周知・啓発
      ①セクシュアルハラスメントの内容・セクシュアルハラスメントがあってはなら
        ない旨の方針を明確化し、管理・監督者を含む労働者に周知・啓発する
        こと。
      ②行為者については、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等
        の文書に規定し、管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること。
⑵ 相談(苦情含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制整備
      ③相談窓口をあらかじめ定めること。
      ④相談窓口担当者が、内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること。
        また、広く相談に対応すること。
⑶ 事後の迅速かつ適切な対応
      ⑤事実関係を迅速かつ正確に確認すること。
      ⑥事実確認ができた場合は、行為者及び被害者に対する措置を適正に行う
        こと。
      ⑦再発防止に向けた措置を講ずること。(事実が確認できなかった場合も同
        様)
⑷ ⑴から⑶までの措置と併せて講ずべき措置
      ⑧相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、周
        知すること。
      ⑨相談したこと、事実関係の確認に協力したこと等を理由として不利益な取
        扱いを行ってはならない旨を定め、労働者に周知・啓発すること。

 

数字 妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置(均等法第12条、第13条第1項)

派遣先の事業主は、自ら雇用する労働者と同様、派遣労働者についても妊娠中及び出産後の健康管理に関する必要な措置を講じなければなりません。
   ⑴ 妊産婦が保健指導又は健康診査を受けるために必要な時間の確保
   ⑵ 妊産婦が保健指導又は健康診査に基づく主治医等の指導事項を守ることが
     できるようにするために講じなければならない措置
  例えば・・・・
          時差通勤、休憩回数の増加、勤務時間の短縮、休業等

 

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男女均等な採用選考ルール -5-

[ テーマ: 男女均等な採用選考ルール ]

2010年11月29日16:03:00

ポジティブ・アクションと格差の相違点


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職場に事実上生じている男女間の格差を是正して、男女の均等な機会・待遇を実質的に確保するために、事業主が、女性のみを対象とするまたは女性を有利に取り扱う措置(ポジティブ・アクション)は、法違反とはなりません。

 

マーク18 事実上生じている男女間の格差とは、男性労働者と比較して、一定の区分、職務、役職において女性労働者の割合が4割を下回っている場合であれば、格差が存在していると判断されます。
女性のみを対象とする、または女性を有利に取り扱う措置を講じるには、これまでの慣行や固定的な男女の役割分担意識が原因で生じている状況を改善する目的であることが必要です。
なお、現に女性労働者の割合が4割を下回っている場合でも、単に女性を優先したい、有利に取り扱いたいという意図で女性を配置することは、事業主が雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保の支障となっている事情を改善することを目的としていないため、法違反となります。


【具体例】
  女性労働者が男性労働者と比較して4割を下回っている区分における募集及び採用に当たって、
 マーク18 募集または採用に係る情報の提供について、女性に有利な取扱いをすること
 マーク18 採用の基準を満たす者の中から男性より女性を優先して採用すること   など

 


公正な採用選考とは・・


【採用選考の基本的な考え方】

マーク7  採用選考に当たっては、「応募者の基本的人権を尊重すること」、「応募者の適性・能力のみを基準として行うこと」の2点を基本的な考え方として実施することが大切です。
マーク7 公正な採用選考を行う基本は、「応募者に広く門戸を開くこと」、「本人のもつ適性・能力以外のことを採用の条件にしないこと」 です。
マーク7  就職の機会均等ということは、誰でも自由に自分の適性・能力に応じて職業を選べることですが、このためには、雇用する側が公正な採用選考を行うことが必要です。


【採用選考時に配慮すべき事項】

   次のような適性と能力に関係がない事項を、応募用紙(エントリーシートを含む)に記載させたり面接で尋ねて把握することや下記のような選考方法を行うことは、就職差別につながるおそれがあります。

マーク7 本人に責任のない事項の把握
    本籍・出生地、家族、住宅状況、生活環境・家庭環境などに関すること

マーク7 本来自由である事項(思想信条にかかわること)の把握
     宗教、支持政党、人生観・生活信条、尊敬する人物、思想、労働組合・学生運動など社会運動、購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること

マーク7 不適切な採用選考の方法
     身元調査などの実施
     全国高等学校統一応募用紙・JIS規格の履歴書に基づかない事項を含んだ応募書類(社用紙など)の使用
     合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施

 

公正な採用選考は就職の機会均等を確保や応募者の基本的人権を尊重につながります。

 

男女雇用機会均等法に関するご相談は当事務所まで
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男女均等な採用選考ルール -4-

[ テーマ: 男女均等な採用選考ルール ]

2010年11月22日14:12:00

数字 選考及び内定者の決定


image下記のように内定者を決定する際に性別を選考の基準とすることは違法です。

 
1 男性または女性は採用しない」との方針のもと、募集及び採用試験を実施し、最終選考の段階で一方の性を不採用とする。
【違法事例】
マーク17  形式上、男女同一の採用活動を行うが、選考過程で「男性だから」または「女性だから」という理由で不採用とする。


選考に当たって、男女で異なる取扱いする。
【違法事例】
マーク17  男性または女性の選考終了後に、女性または男性を選考する。
マーク17  男女のいずれかに対してのみ選考基準を厳しく設定する。
マーク17  合格基準に達した応募者の中から男女いずれかを優先的に選考する。
マーク17  女性は男性と同一の合格基準に達した上に、更に自宅通勤可能な者といった男性にない条件を追加する。


業務に必要もないのに「身長・体重・体力」を要件とする採用基準に基づいて選考を行う。
【違法事例】
マーク17  荷物を運搬する業務を内容とする職務について、当該業務を行うために必要な筋力より強い筋力があることを選考基準とする


総合職の採用基準に、必要もないのに「全国転勤に応じられる者」という基準に基づいて選考を行う。
【違法事例】
マーク17  広域にわたり展開する支店、支社等がなく、かつ、支店、支社等を広域にわたり展開する計画等もない、または支店、支社等はあるが転居を伴う転勤の実態はほとんどないのに、総合職の採用基準に「全国転勤に応じられる者」という基準を設け選考を行う。

 

矢印37法違反とならない場合

 業務の遂行上、一方の性でなければならない職務等で次の⑴~⑶に該当する場合に、募集及び採用において性別を理由とする差別的取扱いに該当する措置を講ずることは、法違反とはなりません。
   ※⑴、⑶について、法違反とならないかどうかは個別具体的に判断を行う必要があるので、お近くの都道府県労働局雇用均等室にご相談ください。


 ⑴ 次に掲げる職務に従事する労働者に係る場合 業務の正常な遂行上、一方の性でなければならない職務に限られます。単に、一方の性に適していると考えられているだけでは該当しません。
  ①  芸術・芸能の分野における表現の真実性等の要請から男女のいずれかのみに従事させることが必要である職務
  ② 守衛、警備員等のうち防犯上の要請から男性に従事させることが必要である職務
  ③  ①及び②に掲げるもののほか、宗教上、風紀上、スポーツにおける競技の性質上、その他の業務の性質上、男女のいずれかのみに従事させることについて①、②と同程度の必要性があると認められる職務

 ⑵  労働基準法第61条第1項(深夜業)、第64条の2(坑内業務の就業制限)もしくは第64条の3第2項(危険有害業務の就業制限)の規定により女性を就業させることができず、または保健師助産師看護師法第3条の規定(助産師は女子をいう)により男性を就業させることができないことから、通常の業務を遂行するために、労働者の性別にかかわりなく均等な機会を与えまたは均等な取扱いをすることが困難であると認められる場合


 ⑶  風俗、風習等の相違により男女のいずれかが能力を発揮し難い海外での勤務が必要な場合、その他特別の事情により労働者の性別にかかわりなく均等な機会を与え、または均等な取扱いをすることが困難であると認められる場合

 

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