[ テーマ: 法律に関する事 ]
2008年11月11日15:16:00
労働契約を結ぶ場合には・・・
労働者と使用者が合意すれば、労働契約は成立します。事業場に就業規則がある合で、
就業規則で定める労働条件が労働者の労働条件になる場合は、次のような場合です。
●労働者と使用者が、「労働すること」「賃金を支払うこと」について合意すると、労働
契約が成立します。(第6条)
事業場に就業規則(労働条件などを定めた規則)がある場合には、次のようになり
ます。
● 労働者と使用者が労働契約を結ぶ場合に、使用者が
① 合理的な内容の就業規則を
② 労働者に周知させていた(労働者がいつでも見られる状態にしていた)場合には、
就業規則で定める労働条件が、労働者の労働条件になります。(第7条本文)
使用者が就業規則を机の中にしまっていて、労働者が見たくても見られない場合
などは、労働者に周知されていませんので、その就業規則は労働者の労働条件には
なりません。
● 労働者と使用者が、就業規則とは違う内容の労働条件を個別に合意していた場合
には、その合意していた内容が、労働者の労働条件になります。(第7条ただし書)
事業場に就業規則がある場合でも、労働者のそれぞれの事情に合わせて、労働
条件を柔軟に決めることができます。
● 労働者と使用者が個別に合意していた労働条件が、就業規則を下回っている場合
には、労働者の労働条件は、就業規則の内容まで引き上がります。(第12条)
● 法令や労働協約に反する就業規則は、労働者の労働条件にはなりません。(第13
条)
労働契約を変える場合には・・・
労働者が働いていく中では、賃金や労働時間などの労働条件が変わることも少なく
ありません。
労働条件の変更をめぐってトラブルにならないように、使用者と労働者で十分に話し合
うことが大切です。
● 労働者と使用者が合意すれば、労働契約を変更できます。(第8条)
【事業場に就業規則がある場合には、労働者の労働条件は、次のように決まります】
●使用者が一方的に就業規則を変更しても、労働者の不利益に労働条件を変更す
ることはできません。(第9条)
● 使用者が、就業規則の変更によって労働条件を変更する場合には、次のことが必
要です。(第10条)
① その変更が、以下の事情などに照らして合理的であること。
・労働者の受ける不利益の程度
・労働条件の変更の必要性
・変更後の就業規則の内容の相当性
・労働組合等との交渉の状況
② 労働者に変更後の就業規則を周知させること。
《check !》
就業規則の変更については、裁判で次のような考え方が示されています。
・新たな就業規則の作成又は変更によって、既得の権利を奪い、労働者に不利益な労
働条件を一方的に課すことは、原則として許されないが、当該規則条項が合理的なも
のである限り、個々の労働者においてこれに同意しないことを理由として、その適用を
拒否することは許されない。(秋北バス事件最高裁判決)
・賃金のような重要な労働条件の変更について、高度の必要性に基づいた合理的な
内容のものである場合には、その効力を生ずる。(大曲市農業協同組合事件最高裁判
決)
・ 定年を延長する代わりに給与が減額された場合において、その合理性の有無の判
断に当たっては、
① 就業規則の変更によって労働者が被る不利益の程度
② 使用者側の変更の必要性の内容・程度
③ 変更後の就業規則の内容自体の相当性
④ 代償措置その他関連する他の労働条件の改善状況
⑤ 労働組合等との交渉の経緯
⑥ 他の労働組合又は他の従業員の対応
⑦ 同種事項に関する我が国社会における一般的状況等を総合考慮して判断すべ
きである。(第四銀行事件最高裁判決)
一部の労働者が被る不利益性の程度や内容を勘案すると、賃金面における変更の合
理性を判断する際に労働組合の同意を大きな考慮要素と評価することは相当ではな
いというべきである。(みちのく銀行事件最高裁判決)
労働契約を終了する場合などには・・・
● 権利濫用と認められる出向命令は、無効となります。(第14条)
出向命令が権利濫用に当たるかどうかは、その出向が必要であるか、対象労働者
の選定が適切であるかなどの事情を総合的に考慮して判断されます。
● 権利濫用と認められる懲戒は、無効となります。(第15条)
出向命令が権利濫用に当たるかどうかは、その出向が必要であるか、対象労働者
の選定が適切であるかなどの事情を総合的に考慮して判断されます。
● 権利濫用と認められる懲戒は、無効となります。(第15条)
懲戒が権利濫用に当たるかどうかは、懲戒の原因となる労働者の行為の性質や態
様などの事情を総合的に考慮して判断されます。
● 客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない解雇は、権利を濫
用したものとして無効となります。(第16条)
有期労働契約を結ぶ場合には・・・
例えば、1年の契約期間を定めたパートタイム労働者など有期労働契約を結ぶ場合に
は、契約の終了場面における紛争が見られることから、あとでトラブルになったりしない
ように、次のことに気をつけましょう。
● 使用者は、やむを得ない事由がある場合でなければ、契約期間が満了するまで、
労働者を解雇することができません。(第17条第1項)
● 使用者は、有期労働契約によって労働者を雇い入れる目的に照らして、契約期間を必要以上に細切れにしないよう配慮しなければなりません。(第17条第2項)
● 客観的に合理的な理由を欠き、社会通念 上相当と認められない解雇は、権利を濫用したものとして無効となります。(第16条)
●また、労働者も労働契約期間を定めた場合には「やむを得ない理由」がないと契約を解除することはできません。
詳しくは 厚生労働省ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/)をご覧になるか、当事務所にご相談下さい。
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