[ テーマ: 法律に関する事 ]
2008年10月21日17:08:00
労働契約法のポイント
就業形態が多様化し、労働者の労働条件が個別に決定・変更されるようになり、
個別労働紛争が増えています。
この紛争の解決の手段としては、裁判制度のほかに、平成13年から個別労働紛争
解決制度が、平成18年から労働審判制度が施行されるなど、手続面での整備は
すすんできました。
しかし、このような紛争を解決するための労働契約についての民事的なルールを
まとめた法律はありませんでした。このような中で、昨年12月に「労働契約法」が
制定され、労働契約についての基本的なルールがわかりやすい形で明らかにされ
ました。
労働契約法は、平成20年3月1日から施行されています。
これにより、紛争が防止され、労働者の保護を図りながら、個別の労働関係が安定
することが期待されます。
以前にも、こちらのブログで概要を紹介しましたが、今回は、もう少し詳しくお話した
いと思います。
労働契約法のポイント
《check !》労働契約法における「労働者」とは?
● 使用者の指揮・命令のもとに働き、その報酬として賃金を受けている場合には、
労働契約法上の「労働者」となります。(第2条第1項)
「請負」や「委任」という形式をとっていても、実態として、使用者の指揮・命令の
もとに働き、その報酬として賃金を受けていれば、「労働者」になります。
労働契約の基本ルール
● 労働契約の締結や変更に当たっては、労使の対等の立場における合意によるのが
原則です。(第3条第1項)
● 労働者と使用者は、労働契約の締結や変更に当たっては、均衡を考慮することが
重要です。(第3条第2項)
● 労働者と使用者は、労働契約の締結や変更に当たっては、仕事と生活の調和に
配慮することが必要です。(第3条第3項)
● 労働者と使用者は、信義に従い誠実に行動しなければならず、権利を濫用しては
なりません。(第3条第4項・第5項)
労働契約は、使用者と労働者がお互いに守らなければならないものです。
あとでトラブルになったりしないように、契約の内容をハッキリさせておくこと
が大切です。
● 使用者は、労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにしましょう。
(第4条第1項)
例えば、労働者に労働条件をきちんと説明することなどが考えられます。
● 労働者と使用者は、労働契約の内容(有期労働契約に関する事項を含む。)
について、できる限り書面で確認しましょう。(第4条第2項)
例えば、労使で話し合った上で、労働条件を記載した書面を労働者に交付するこ
となどが考えられます。
※ このほか、有期労働契約については、「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」において、使用者は
① 契約期間満了後の更新の有無等を明示しなければなりません。
② 3回以上更新された契約や1年を超えて継続勤務している労働者の契約を更新
しない場合、契約期間満了の30日前までに雇止めを予告 しなければなりませ
ん。
③ 労働者の求めに応じ、雇止めの理由を明示 しなければなりません。
④ 契約更新の場合、契約期間をできる限り長くするよう配慮することとされて
います。
● 使用者は、労働者の生命や身体などの安全が確保されるように配慮しましょう。
(第5条)
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