2012年8月31日10:35:00
セクシュアルハラスメントが原因で精神障害を発病した場合は労災保険の対象です
厚生労働省は、労働者に発病した精神障害が業務上として労災認定できるかを判断するために、「心理的負荷による精神障害の認定基準」を定めています。
認定基準では、発病前のおおむね6か月間に起きた業務による出来事について、強い心理的負荷が認められる場合に、認定要件の一つを満たすとしています。
以下の①②③の要件を満たす場合、業務上として労災認定されます。
精神障害の労災認定要件
① 認定基準の対象となる精神障害を発病していること
認定基準の対象となる精神障害は、国際疾病分類第10回修正版(ICD-10)第Ⅴ章「精神及び行動の障害」に分類される精神障害です(認知症や頭部外傷などによるものは含まれません)。
業務に関連して発病する可能性がある精神障害の代表的なものは、「うつ病」や「急性ストレス反応」などです。
② 精神障害の発病前おおむね6か月間に、業務による強い心理的負荷が認められること
「業務による強い心理的負荷」とは、客観的に対象疾病を発病させる恐れのある強い心理的負荷のことをいい、業務による出来事とその後の状況が、労働者に強い心理的負荷を与えたといえるかを評価します。
セクシュアルハラスメントのように、出来事が繰り返されるものについては、発病の6か月よりも前にそれが始まり、発病まで継続していたときは、始まった時点からの心理的負荷を評価の対象としております。
③ 業務以外の心理的負荷や個体側要因により精神障害を発病したとは認められないこと
私的な出来事(離婚または配偶者と別居したなど)や、本人以外の家族・親族の出来事(配偶者や子ども、親または兄弟が死亡したなど)が発病の原因でないといえるか等を、慎重に判断します。
精神障害の既往歴やアルコール依存症などの個体側要因の有無とその内容について確認し、個体側要因がある場合には、それが発病の原因でないといえるか等を、慎重に判断します。
「業務による強い心理的負荷」が認められるかどうかの判断は?
発病前おおむね6か月の間に起きた業務による出来事について、心理的負荷の程度を「強」「中」「弱」の3段階で総合評価します。心理的負荷が「強」と評価される場合、前ページの認定要件の②を満すこととしております。
認定基準に示す「特別な出来事」がある場合
心理的負荷の総合評価 「強」の例
強姦や、本人の意思を抑圧して行われたわいせつ行為などのセクシュアルハラスメントを受けたなど。
認定基準に示す「特別な出来事」がない場合
「心理的負荷の総合評価の視点」※を考慮して心理的負荷の総合評価を行います。
※ 「心理的負荷の総合評価の視点」
・ セクシュアルハラスメントの内容、程度等や継続する状況
・ セクシュアルハラスメントを受けた後の会社の対応および内容、改善の状況、職場の人間関係など
心理的負荷の総合評価 「強」 の例
胸や腰などへの身体接触を含むセクシュアルハラスメントであって、
① 継続して行われた場合
② 行為は継続していないが、会社に相談しても適切な対応がなく、改善されなかったなど。または会社へ相談などをした後に職場の人間関係が極度に悪化した場合など。
身体接触のない性的な発言のみのセクシュアルハラスメントであって、
① 発言の中に人格を否定するようなものを含み、かつ継続してなされた場合
② 性的な発言が継続してなされ、かつ会社がセクシュアルハラスメントがあると把握していても適切な対応がなく、改善がなされなかったような場合。
心理的負荷の総合評価「中」 の例
胸や腰などへの身体接触を含むセクシュアルハラスメントであっても、行為が継続しておらず、会社が適切かつ迅速に対応し発病前に解決したような場合。
身体接触のない性的な発言のみのセクシュアルハラスメントであって、
① 発言が継続していない場合
② 複数回行われたものの、会社が適切かつ迅速に対応し発病前にそれが終了した場合。
心理的負荷の総合評価「弱」 の例
「○○ちゃん」などのセクシュアルハラスメントに当たる発言をされた場合。
職場内に水着姿の女性のポスターなどを掲示された場合。
具体的出来事の心理的負荷の強度が「中」または「弱」程度と評価される場合であっても、出来事の前後に恒常的な長時間外労働(月100時間程度となる時間外労働)が認められる場合や、関連しない出来事(ここではセクシュアルハラスメント以外の出来事)が複数生じた場合などには、総合評価が「強」となることがあります。
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