教えて!労働基準法 -会社に入ったあとにー その4

[ テーマ: 教えて!労働基準法 ]

2012年6月15日09:17:46

image矢印43 労働時間の決まり


就業規則で始業や終業の時刻が決められていますが、働く時間の長さは法律で制限されています。
労働基準法では、1日の労働時間を8時間以内、1週間の労働時間を40時間以内と定めています(法定労働時間、労働基準法第32条)。


使用者が法定労働時間を超えて労働者を働かせる場合には、あらかじめ労働者の過半数で組織する労働組合又は過半数を代表する者との間に、「時間外労働・休日労働に関する協定」を締結し、労働基準監督署に届け出なければいけません(労働基準法第36条)。
この協定は労働基準法第36条に規定されていることから、通称「36協定(サブロク協定)」と呼ばれています。
36協定により延長できる労働時間については、厚生労働大臣が定める「時間外労働の限度に関する基準」(厚生労働省告示)において上限時間が示されており、協定内容はこの基準に適合するように決めなければなりません(原則週15時間、月45時間)。
また、使用者が労働者に時間外労働をさせた場合には割増賃金(いわゆる残業代)を支払わなければなりません。

①法定労働時間を超えて働かせた時(時間外労働)は25%以上増 ※
②法定休日に働かせた時(休日労働)は35%以上増
③午後10時から午前5時までの深夜に働かせた時(深夜労働)は25%以上増

マーク7  例えば、法定労働時間外の労働かつ深夜労働であった場合(①+③)は、支給される賃金は50%以上に増えます。

マーク7  1か月60時間を超える時間外労働については50%以上の割増賃金を支払わなければなりません。
ただし、中小企業については当分の間25%以上の割増賃金の支払いで足りるとされています。

この割増賃金は雇用形態に関わらず、すべての労働者に適用されます。
アルバイトやパートタイム労働者についても支払わなければなりません。
「サービス残業」といって法定労働時間を超えて働いているのに時間外手当が支払われないということを聞いたことがあるかもしれませんが、それは労働基準法違反です。
会社が支払わない場合は労働基準監督署に相談しましょう。

 

変形労働時間制について(労働基準法第32条の2~第32条の5)

変形労働時間制とは、一定の要件の下、一定の期間を平均して1週間の労働時間が40時間を超えない範囲で、特定の日の労働時間が8時間を超えたり、特定の日の労働時間が40時間を超えて労働させることができる制度です。
繁閑の差が激しい業種において、この制度は、業務の忙しい時期と比較的暇な時期に応じて、労働時間をあらかじめ計画的に配分し、全体の労働時間の短縮を図るためなどに利用されています。

変形労働時間制には、1か月単位、1年単位の変形労働時間制、1週間以内の非定型的変形労働時間制、労働者が自分で始業時刻・終業時刻を決定できるフレックスタイム制があります。

変形労働時間制は、労働時間を弾力化することで業務の効率をよくする反面、労働者にとっては、生活が不規則となったり、通常の労働時間制ならば時間外手当の対象となる時間がそうでなくなったりすることにつながるなどの問題点もあります。
そこで、変形労働時間制の導入には、就業規則や労使協定で定めておく必要があるなどの要件を満たす必要があります。
また、妊産婦や育児・介護を行う人たちには適用制限がありますし、変形制といっても全く自由に長時間連続で働かせることができるわけではなく、法令上、上限や時間外労働、休日に関する規定が定められており、それに反することはできません。

 

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教えて!労働基準法 -会社に入ったあとにー その3

[ テーマ: 教えて!労働基準法 ]

2012年6月13日09:24:10

image矢印44 支払われ方についてのきまり

賃金が全額確実に労働者に渡るように、支払われ方にも決まりがあり、次の4つの原則が定められています(労働基準法第24条)。


① 通貨払いの原則
賃金は現金で支払わなければならず、現物(会社の商品など)で支払ってはいけません。

ただし、労働者の同意を得た場合は、銀行振込み等の方法によることができます。


② 直接払いの原則
賃金は労働者本人に支払わなければなりません。

未成年者だから親に払う、結婚しているから配偶者に払うといったことはできません。

③ 全額払いの原則
賃金は全額残らず支払われなければなりません。

「積立金」などの名目で強制的に賃金の一部を控除(天引き)して支払うことは禁止されています。
ただし、所得税や社会保険料など、法令で定められているものの控除は認められています。
それ以外は、労働者の過半数で組織する労働組合、または労働者の過半数を代表する者との間で結んだ労使協定で定めたものに限って認められます。


毎月1回以上一定期日払の原則
賃金は、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければいけません。

今月は払わず、来月2ヶ月分を支払うといったことは認められません。
また、支払日を「毎月20日~25日の間」や「毎月第4金曜日」など変動する期日とすることも認められません。
ただし、臨時の賃金や賞与(ボーナス)は例外として適用はありません。

 

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教えて!労働基準法 -会社に入ったあとにー その2

[ テーマ: 教えて!労働基準法 ]

2012年6月11日14:29:27

image矢印43 最低賃金について

給料のことを法律では「賃金」といいます。
賃金は「最低賃金法」によって、最低限度額が定められています。
最低賃金額は、都道府県ごとに決まっていて、例えば東京では、時給837円です(平成23年10月現在)。
たとえ労働者が同意したとしても、最低賃金よりも低い賃金での契約は認められません。
もし、仮に時給500円で働くことに同意してしまったとしても、その約束は法律によって無効となり、最低賃金額と同額の約束をしたものとみなされます。
労働者は最低賃金との差額×働いた時間分(東京なら337円×時間)を請求することができます。

 

! 最低賃金の種類
最低賃金には、すべての労働者とその使用者に適用される「地域別最低賃金」と、特定の産業に従事する労働者とその使用者に適用される「特定最低賃金」があり、それぞれ都道府県ごとに決められています。両方の最低賃金が同時に適用される場合には高い方の最低賃金が適用されます。

 

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